マリコ院長のときたまトーク

第6回「梅干し」

本格的な梅雨となりました。

蒸し暑いけど雨で冷える。。曇り空が多くて気分も冴えない。。

更年期でなくても、誰にとっても体調を崩しやすい季節です。

一方で、草木や諸々の生き物が、エネルギーをぐんぐん吸収してワイルドに成長する豊穣な季節。雨に煙る緑を眺めながら、その根本、土中では天文学的な数の小さな生き物たちがひしめき合い暮らしているのを想像するのも悪くありません。生物世界は微生物で保っています。人間の体の中にもたくさんの微生物が棲んでいて、消化吸収を助け外敵に対する抵抗力となって働いており、つまり持ちつ持たれつ生きているのです。

さて、この季節に作られる梅干しは、クエン酸やリンゴ酸が抜群に豊富であり、疲労回復、防腐、抗菌作用、食欲増進作用を持つ、日本が誇る保存食品です。私は梅干しにはとても思い入れがあり、梅干しこそ日本が生んだ最強の滋養強壮食品の一つと思っています。

ここまで書いてきて、やはり食いしん坊の性、今までのトークの大半が食べ物の話と気づきました。お恥ずかしい限りですがしばしお付き合いください。

梅干しの偉大さに気づいたのは研修医の時。国際学会に参加した際、スウェーデンからフィンランドまでの船旅でのことでした。緊張と時差で疲れきっていた私はひどく船酔いし、ぐったりして動けなくなりました。しかし同行した先生ご持参の梅干しをすすめられどうにか食べたら、やがて吐き気がおさまり食欲も出て元気になってしまいました。まさに西洋医学の勉強真っ最中の私でしたが、単なる胃腸薬以上の効果をもたらした「日本の見馴れた梅干し」にはガツンと衝撃を受けたことを覚えています。

その後結婚した夫の母は、自宅で仕事の傍ら毎年梅干しを漬けていました。昔ながらの大きな容器の中の綺麗な色に染まったしそ梅漬けは何年前のを見ても一切カビが生えていないのです。特大サイズの柔らかい梅を口に含むと、強い塩気と酸としその香りが、最高にうまい具合に融合して、「これがバランスというものだ」とわかる芸術品です。食欲がなくて疲れている時でもこの梅干しで息を吹き返します。いつかあんな梅干しを自分でも漬けてみたいと思いながら忙しさにかまけて母に習わずじまいになってしまいました。本当に惜しいことをしました。今はせめて、本格的な梅干し(塩分が濃く、昔ながらの製法で作られた)を買い求め健康の一助としています。もう少し年をとったら是非梅干し作りに挑戦してみたいものです。

私たちは体調が悪くなるとすぐ何か薬を。。と思ってしまいます。

私も処方する側でもあるので同じです。しかし現代の薬も、もともとは自然界から得られる薬効成分を抽出、模倣、アレンジ、増強して作られたものですから、何にせよ自然が先生ということになります。自然界からの恵みを大切にして生活にも生かしていけたら、より環境にも自分にも優しい生活になると思われます。
皆さんもこの季節、日本の梅干しで胃腸をケアしてみてはいかがでしょうか?